葉書の木
「子どもの頃、この木の葉に字を書いてよく遊んだものです。彦根城には“はがきの木”がたくさんあります。」先日、ボランティアガイド協会研修会に参加した時、ガイドの方がタラヨウの葉を手に話しておられました。タラヨウはモチノキ科の常緑の高木です。
後日、城山探索に出かけました。僕が見つけることができた彦根城のタラヨウの在処は6カ所でした。最もわかり易いのは大手門から入り、天秤櫓への坂道を上った所にあります。「タラヨウ」と書かれたプレートがあるので、すぐにわかるはずです。

タラヨウは郵便局のシンボルツリー、彦根の郵便局にもあります。「葉の裏に先の尖ったもので字を書くとその痕が黒く残るので、古代インドで手紙や文章を書くのに用いた多羅樹の葉になぞらえてタラヨウと名前が付けられました。一説に“はがきの木”とも言われています」と説明が書かれています。
郵便局の方の話では、「この木は名前の通り、葉書の語源になったと言われている木です。葉書という字は明治時代に前島密によって郵便制度が確立され使われるようになりました」ということです。

広辞苑には『【葉書・端書】1.紙片などに書き付けた覚え書き。2.郵便葉書の略。明治初期には郵便はがき印紙・はがき紙などとも称した。公文書では一八八三年(明治一六)ごろから「葉書」と表記。』と記されています。
語源は「端書(はしがき)」であり、郵便制度の成立により「はがき」が誕生し、「葉書」という表記が生まれたということでしょう。
「最近は、“はがきの木”のことを知らない人が多いですね。郵便局のシンボルツリーにもなっていますが、局員でも知らないことがあります。彦根城内にも 多くあるということですから、この機会にぜひ“はがきの木”を知っていただきたいですね。彦根郵便局では他の郵便物を汚してしまう恐れがありますから、“はがきの木”の葉に切手を貼って出すことはできませんが、透明ビニールなどの封筒に入れていただければ受け付けることができます。」
彦根城内のタラヨウの葉を登城記念に郵送することもできるわけですね。
ちなみに、郵便制度を確立し、はがきに「葉書」という文字を使ったと言われる前島密は、天保6(1835)年1月7日、現在の新潟県生まれ。江戸に出て勉学に励み、18歳の時、ペリー来航を実体験しています。井伊直弼と同じ時代を生き、日本の近代化に努めた人物です。

